Vid Analyticsを使って視聴ニーズを発見する方法

自社でYouTubeチャンネルを開設してみると、「どのような動画を作れば良いか企画するのが難しい」「制作した動画がほとんど見られていない」などの悩みがつきものです。

動画の再生回数が思うように伸びずに悩んでいる場合、重要な2つのポイントを押さえられていない可能性があります。

そこでこのページでは、視聴ニーズを捉えた動画を制作する方法と、企業がYouTubeチャンネルを運営する際に意識すべき点を解説します。

Vid Analyticsでニーズを把握し、動画を企画する方法

わかりやすい例を1つご紹介しましょう。

関東圏内でジムを運営している企業のマーケティング担当者・平がYouTubeチャンネルの動画を企画するとします。まだネームバリューがなく、ジムの認知を上げて集客を増やす必要があり、平は『うちのジムはダイエットや食事のサポートも手厚く行っているので、「ダイエットをしたい」という訴求から興味関心を引いて、ジムの会員になってくれそうな人を集客しよう』と考えます。

そこで、ダイエットをしたい人がどのようなニーズを持っているのか「Vid Analytics」を使用して、データを調べていきたいと思います。

「ダイエット」を入力して分析した結果がこちらです。

ダイエットに関連すると思われる動画の上に、ワードクラウドが表示されます。これらのデータを見ながら、視聴者のニーズがどこにあるのかを分析し、動画で必要とされるテーマや切り口を戦略的に探していきます。動画を1つずつ確認しても良いですが、時間がかかるので、まずはワードクラウドを見て絞り込んでいただくのがおすすめです。

たくさん並ぶワードはサイズが大きいほどニーズがあると思ってください。最初のうちは、博士のようなキャラクターがおすすめしているワードから絞り込んでいただくのが良いと思います。

「ダイエット」で調べると、あまり関係のない動画も表示されるので、ワードクラウド内の「ダイエット」をクリックすると、「ダイエット」に絞り込んだ結果だけを表示できます。「ダイエット」というテーマで絞り込んでも、まだ多くの動画が表示されるので、さらに「方法」で絞り込みます。

「ダイエット」「方法」で絞り込んだ結果が下記です。

「プロテイン」「体重公開」などのワードがありますが、まだよくわからないので「2ヶ月」で絞り込んでみると、ワードクラウドの結果がかなり絞り込まれました。「食事ルーティン」や「10㎏」「21キロ」などのワードが見られます。

ワードクラウドの下に並ぶ動画を見てみると、

  • PFCバランス厳守
  • ケトジェニック方法

などの難しいテーマではなく、

  • 2ヶ月でマイナス5㎏

のような簡単なものが良いことがわかります。

このように、ワードクラウドや動画一覧を見ながら「このテーマなら作れそう」というテーマに絞り込み、企画を考えていきます。

また、もう1つ大切なのはチャンネルの登録者数です。動画一覧で視聴回数が多い動画を見てみると、登録者数も多くなっています。こうしたケースでは、おそらくファンの方々が動画を視聴しているでしょう。しかし、まだファンがいなかったり、少なかったりする場合は、ファンが少ないのにニーズが合致して動画がバズっているケースなど、既存のファン以外で視聴回数を伸ばす方法を調べる必要があります。

動画一覧の上にある「チャンネル登録者数」の項目で絞り込むことができるので、今回は「1万人以下」で絞り込んでみます。

チャンネル登録者数「1万人以下」の動画に絞り込まれたら、次に見ていただきたいのが「伸び率」です。

伸び率は、登録者数に対してどれだけの視聴回数があるかを表しています。つまり、1万人のチャンネル登録者数に対して、動画の視聴回数が1万回あったら、伸び率は100%です。逆に、登録者数が100人なのに対し、動画の視聴回数が1万回、2万回とあったら、伸び率はグッと上がります。

伸び率のところをクリックすると、数値の大きい順に並ぶので、チャンネル登録者数が少ないのに視聴回数が多い動画のテーマやサムネイルをチェックし、

  • 一日一食という切り口はどうか
  • サムネイルでビフォーアフターを並べると良いのかもしれない

などと、ユーザーの視聴ニーズを解析していきます。

YouTube検索を意識したVid Analyticsの活用方法

YouTube検索で何が求められているのかを調べるには、ツールの「②キーワードを読み解く」をクリックしてください。

すると、YouTube検索上で求められているキーワードが解析されます。下記の図のようにキーワードがたくさん並んでいますので、「伸び率」をクリックしていただくと、低い順または高い順に並び替えることができます。

「ダイエット」で伸び率が高いキーワードを見ていくと

  • ところてん ダイエット 1週間(185%)
  • ダイエット 5分(182%)
  • かまじい ダイエット(183%)

などがあります。私もダイエットはするのですが、「かまじい ダイエット」は知りませんでした。どれほど詳しいテーマでも知らないことはあるはずですから、「②キーワードを読み解く」で自分の知らなかったニーズを発見し、「かまじいダイエットを安全にやる方法」などと企画します。

たくさん並ぶキーワードを1つずつ確認するのは大変なので、博士の提案を参考にしましょう。「ダイエット」に関しては『「レシピ」や「食事」など、更にカテゴリテーマを絞り込んでみましょう』とアドバイスがあるので、「レシピ」をクリックしてみます。

すると、「ダイエット」と「レシピ」でキーワードを絞り込むことができ、ワードクラウドを見ると「簡単」が重要であるとわかるので、「電子レンジで5分!簡単にできるダイエットレシピ」「朝イチでできるオートミールのレシピ(おいしい)」などのように、企画の切り口を考えます。

実際にどのような動画があるのかは、「動画」のタブをクリックすると見られます。先述のように、視聴回数ではなく伸び率に注目してください。チャンネルの登録者数が700人程度で視聴回数が16万4000回を超えている動画があるので、そちらを切り口の参考の1つにしながら、企画会議で「タイトルにある『楽痩せ』が大切なのかな」「『楽痩せ』で動画作れそう?」などと話し合います。

また、再び博士のアドバイスを見てみると、「『ダイエット×レシピ』に特化したチャンネルやコンテンツ集を企画してみるのも良いでしょう」とあるので、「ダイエット×レシピでもジャンルが確立されているようだし、ダイエット全般ではなく、ダイエット×レシピで1つのサブチャンネルを作ってみようか」と企画することもできると思います。

上記のようにユーザーが興味のあるテーマを調査し、そこに自分たちが伝えたいことをつなげていくのが重要です。例えば我々が「Keywordmapは~~」「ビッグワードは~~」などのテーマで一方的に伝えたいことを伝えても、ユーザーは興味がありません。成果がうまく出ていないケースの多くは、ユーザーの視聴ニーズを押さえるという大切な観点が抜けているのです。

企業がYouTubeチャンネルで認知を獲得するメリット

そもそも企業がYouTubeチャンネルで認知を獲得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ひとことで言うと、営業や採用が加速します。YouTubeは宣伝媒体または認知獲得媒体として強力なメディアの1つです。

CINCでは、YouTubeのオウンドメディアやアカウントの運用を改善するコンサルティングを提供しているほか、自社でもYouTubeでオウンドメディアを運営しています。そのうちの1つが、私(株式会社CINC副社長 平)が運営している「SEO研究チャンネル」です。

チャンネルを運営していて良かったことは大きく2つあり、1つは「SEOといえばCINC」という第一想起が得られることです。潜在層のお客さまが「SEO研究チャンネル」の動画を見てSEOの取り組み方を知り、ふとした時に「うちの会社もSEOをやろう」と考えたときに「SEO研究チャンネル」やCINCのことを思い出していただける可能性があります。

もう1つは、営業担当者が提案するときに「CINCさんの名前を聞いたことがあります」「YouTubeを見ています」などの声を頂くことが最近少しずつ増えてきました。すでにCINCのことを知っていただいている状態でお客さまに提案できるので、契約までの流れがスムーズになります。

また、新卒または中途採用においても、YouTubeは効果を発揮します。私の「SEO研究チャンネル」も新卒採用に貢献したことがあります。

最近の大学生はブログやTikTokなどのSNSで自ら情報を発信する人が多く、CINCの応募者にも「自分で発信しています」という方がよくいます。自身のアカウントのアクセス数を増やしたいと考え、調べる過程で私の「SEO研究チャンネル」やWebページにたどり着き、おそらくCINCのことを知ったのでしょう。「YouTubeの動画を見てCINCに興味を持ちました。○年卒の採用はまだ始まっていないのでしょうか」とDMをいただくケースもあり、中には内定した方もいます。YouTubeチャンネルを始めた目的はもともと営業のためでしたが、採用にも強い媒体であると感じています。

YouTubeと言うと、インフルエンサーやCtoC、BtoCtoCなど、toC向けのイメージが強いかもしれません。しかし、実際はそうではなく、BtoCやBtoBなど企業のYouTubeチャンネルもあります。CINCがコンサルティングしているお客さまはもちろん、私自身もYouTubeは売り上げや採用などの事業成果に直接的に貢献すると感じています。

企業のYouTubeチャンネルで押さえるべき2つのポイント

オウンドメディアやTwitter、Instagram、ウェビナー、昔からあるDMなどもコンテンツマーケティングと言えますし、YouTubeもそのうちの1つです。YouTubeは真新しいマーケティング手法というより、コンテンツマーケティングのメディアの1つと言えます。そのため、マーケティングの基本的な概念である「どのような人に対してアプローチするのか」がないと、YouTubeマーケティングも成功しません。

上記を踏まえたうえで、企業のYouTubeチャンネルで押さえるべきポイントを今回は2つお伝えします。

1つめは、YouTubeは受け身視聴であること。2つ目は良質な構成です。ポイントの中に動画の画質やBGMなどは含まれていません。「受け身視聴であること」「良質な構成」の2つが非常に重要です。

反対に、この2つを押さえずに「機材にとても力を入れています」などと話している企業のチャンネルでは、開設から1年半後くらいに動画の再生回数を見てみても、ほとんど伸びていないケースがよくあります。

例えば120回ある再生回数のうち、120人の見込み客が視聴しているなら、動画の効果が出ていると言えるでしょう。しかし、リードや問い合わせ、コンバージョンなどを確認してもそれほど増えていないとなると、動画制作にかけている労力をGoogle広告にスライドしたり、広告の予算を増やしたりしたほうが良いかもしれません。

やはり大切な2つのポイントを押さえていないと、YouTubeのオウンドメディアは成功しないのです。

「受け身視聴」を意識して動画を制作するには?

皆さんはYouTubeやTikTokなど、動画をどのようなときに視聴していますか。おそらく、なんとなく見ているケースが多いと思います。「○○について調べよう!」と意気込んでYouTubeを見る人はほとんどおらず、そういう人はGoogle検索で検索するでしょう。

では、視聴者はどこで動画と接触するのでしょうか。

最も多いのは、YouTubeのトップページにあるブラウジング枠です。YouTubeのアルゴリズムが「このユーザーは、この動画を見たいだろう」と提案する、いわゆるおすすめ枠です。

もう1つは、動画を見ているときに表示される関連動画の枠が考えられます。そのため、ユーザーは基本的に受け身視聴です。何か動画がおすすめとして出てきたら「面白そう」「この動画、見たかったんだよね」と視聴します。

たくさん表示されたおすすめ動画の中から、ユーザーがどれをクリックして見るかは、「興味があるかどうか」によります。サムネイルを見た瞬間に興味を引かれればユーザーは動画を見ますし、興味がなければ見ません。そして、興味があるかないかをユーザーが判断するのは動画の切り口・テーマであり、さらに細かく言うとサムネイルです。

具体的にイメージするべく、2つのサムネイルをご覧ください。次の2つのサムネイルを見て、どちらのほうをクリックしたいと感じますか。

おそらく、ほとんどの方は右側のサムネイルを選ぶのではないかと思います。Facebook広告の運用に詳しい方は、もしかすると左側のサムネイルを選ぶことがあるかもしれませんが、ほとんどの方、つまり受け身視聴の方は右側を選択するはずです。

このサムネイルの動画のターゲットは、マーケティング担当者や営業部長などです。ターゲットの人たちが興味関心を持つことを考えてみると、全員に共通しているのはまず「売上を上げること」です。そして、できれば「すぐにできること」ではないでしょうか。マーケティング担当者という大きな枠組みで考えると、おそらく「売上を上げること」と「すぐにできること」の2点が共通して興味がある事柄で、それをうまく切り取っていると私が考えるのが右側のサムネイルです。

サムネイルでは視聴者の多くが気になっていることを取り上げ、動画の中身で本当に自身が伝えたい内容へ徐々につなげていく。こうしたストーリー作りが大切です。先程の例で考えると、次のようなイメージです。

  • 「売上2倍」「FB広告の設定」という文字を見る
    • 「私に関係がある内容だから見たい」と感じてクリックする
  • 売上が上がると見て視聴する
    • 「オーディエンスターゲティングという方法があるのか…ちょっとやってみよう」
  • 「このチャンネル、とても参考になったな」
    • 「どこが運営しているんだろう…CINCという会社なのか」

ここまでサムネイルについてお伝えしましたが、決して「サムネイルにこだわってください」という意味ではありません。本当に大切なのは「人々の興味関心がどこにあるか」で、サムネイルはそのための表現でしかないのです。どこに焦点を当てるかが非常に重要です。成果が出ていない動画の大半は、一方的で誰も求めていない内容になっています。上記の例にあった左側のサムネイルは「難しそう」「自分には関係なさそう」とクリックされないのです。

YouTube検索も同様で、動画の再生回数を増やすには、たくさん並ぶ検索結果を見たときにユーザーが「これは私が知りたいことだ」と感じてクリックするか否かが重要です。コンテンツマーケティングの基本でもありますが、ユーザーの検索意図をしっかりと捉えていく必要があります。戦略的に行うには、視聴者となる潜在顧客が求めていることを事前にリサーチし、一方的な内容の動画にならないようにすることが大切です。

動画を良質な構成にする重要性と意識したいポイント

良質な構成が大切なのは、ユーザーが興味のあるテーマを選んで動画を制作しても、構成が面白くなければユーザーに離脱されてしまうからです。クリックされても、動画の最後にあるクロージング部分までたどり着いてもらえないケースがあります。私の「SEO研究チャンネル」も最初はそのような感じでした。

2年ほど前に制作した動画をいま振り返ってみると、構成が全く良くないと思います。ユーザーが動画をどこまで見てくれたかがわかる視聴維持率をYouTubeアナリティクスで見てみると、冒頭でガクンと落ちているのがわかります。

視聴時間が半分くらいの時点で視聴維持率30%を切っている状態です。つまり、動画を視聴してくれた人の70%は「つまらないな」と感じて帰ってしまっています。見てくださった人には申し訳ないなと思います。

最近の私の動画の視聴維持率は以下の通りです。大体60%以上を維持できています。CINCの場合はBtoBですが、BtoCの企業であればもうすこしパーセンテージを上げて視聴維持率を維持したいところです。難しいかもしれませんが、本格的に構成を作り込めば視聴維持率も80%や90%を維持できることがあります。

良質な構成にするために大切なポイントは「PREP法」と「テンポ」です。最初に定義や結論を述べたうえで理由または具体例を説明していくような構成と、動画のテンポがtoCとtoBのどちらでも大切になってきます。

2つのポイントを押さえれば視聴維持率を改善でき、「動画を見ました」「(チャンネルや会社のことを)覚えています」と言ってくださるお客さまや、「Keywordmapについて問い合わせてみたいです」というお客さまも増えるでしょう。